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情報政策デザイン会議
Information Policy Design Forum
新たな千年期(ミレニアム)を迎えたいま、人間の知的活動の所産である情報・知識のフリーな創造、流通、共有、利用を実現し、生活・文化、経済・産業、自然・環境を全体として活性化し得る未来社会の実現が要請されています。
  この未来社会の実現に際しては、特に、ダイナミックに環境変化する情報分野での確固たる政策の成立が最重要であり、社会全体が情報・知識の恩恵に浴するよう、それらは柔軟かつ骨太な枠組みでなければなりません。
  このためには、各国政府においても未だフロンティアの領域であるインフラ政策、コンテンツ政策、プラットフォーム政策の体系を新しくデザインするムーブメントを創出し、融点に導くことが必要です。
  情報政策デザイン会議は、以上の趣旨に基づき、情報政策体系を企画・刷新するための活動を行うことを目的として設置したもので、情報通信の行政経験者及び若手現役行政官によって構成されています。当面は研究論文やレポート、ディスカッションペーパの形でアウトプットを出していく予定です。

 2001年7月15日 大安
        情報政策デザイン会議議長  中村伊知哉
        本部:東京都港区西麻布1-4-35レ・フルール西麻布401(かおたん前)
 論文
 (本サイトに個人名で発表・掲載する研究内容や意見は執筆者個人に属し、個人が属する機関の公式見解を示すものではありません。)

1 携帯電話事業における新たなビジネスモデルの提案
  (The proposal of a new business model in the mobile-phone market)
 ●山口真吾、中村伊知哉
 ●要約:近年急成長を遂げつつある携帯電話事業は、技術革新やサービスの多様化は日々進展しているが、そのビジネスモデルは最初に日本で携帯電話サービスが開始されて以来20年間、不変である。本論文では、基礎研究から規格化、インフラの設置・運営、サービス提供をトータルに行う中央集権的な携帯電話事業者のビジネス形態に加え、安価に提供されるブロードバンドアクセス回線と大量に普及する規格化された無線LANを活用した新しいモバイル事業の可能性について検証し、新たなビジネスモデルを提案する。
 ●ビジネスモデル学会に投稿済(2001.7.24)
 ●?論文ダウンロード(MS-Word)

2 90年代アメリカ型ITモデル再構築の必要性 
 (The necessity of restructuring of 90s' US Type IT model)
 ●中村伊知哉、菊池尚人
 ●要約:1990年代、IT分野は、インターネット、コンピュータ、ハリウッドを軸とするアメリカ型ITモデルというべき構造が国際的優位性を確立した。そして今後、ネットワークは広帯域の光ファイバー・無線へ、プラットフォームはモバイル・ユビキタスへ、コンテンツはP to Pでの大衆による情報活動へ、という基本潮流に向かうことが予測される。しかし、短期的な収益を重視する投資行動、機器の改良力やモバイルに対する需要、大衆の表現力、といった点からみて、アメリカが長期的に優位性を維持する保証はなくなっており、日本が強みを発揮してくる可能性も考えられる。本稿は、アメリカがITモデルの再構築を迫られる必要性について論考するものである。
 ●ビジネスモデル学会に投稿済(2001.7.26)
 ●?論文ダウンロード(MS-Word)

3 ITが都市や交通に与えるインパクト −知識経済化の流れの中で
 ●今川拓郎
 ●はじめに:ITが産業革命に匹敵する歴史的な大変革であることに異論は少ないであろう。しかしその評価については、IT礼賛の峠を越え、冷静な再評価の眼を投げかける識者が増えているようだ。我々は、低迷が続く日本経済の中で、ITという技術革新に対して過度な期待や不安を慎み、確固たる論拠と充分な検証に基づく的確な判断を心がけていかなければならない。ITは我々の政治経済や社会生活の様々な分野にインパクトを与えているが、都市や交通の分野も例外でない。但し現段階ではITのインパクトが余りに多岐に及ぶため、都会への集中が進むのか地方への分散が実現するのか、交通の役割が縮小するのか拡大するのか等、ITがいずれの方向に機能するのか今ひとつ良く分かっていないのが実状である。本稿では、我が国のデータを踏まえた上で、ITと都市及び交通の関係について経済学的な考察を試みる。
 ●雑誌に掲載予定(2001.10月)
 ●?論文ダウンロード(MS-Word)

4 通信と放送の日本型融合モデル
 (Japan model of the integration of telecommunication and broadcasting)
 ●中村伊知哉、菊池尚人
 ●要約:通信と放送の融合を政策的に捉えると、日本のメディアの特殊性である放送コンテンツの重要性を十分に踏まえる必要がある。日本における通信と放送の融合の本質は、「放送コンテンツを通信網で円滑に利用できるようにすること」であり、これを推進するための政策の機軸は「放送コンテンツのデジタル化」、「高速ネットワークの整備」、「ハード・ソフトの分離」である。平成13年に制定された「電気通信役務利用放送法」は、ネットワークについて規制緩和を実施した点、ハード・ソフトの分離を進めた点が評価されるものであるが、これは今後必要となる制度変更の導入部分にすぎない。今後はネットワーク、サービス、コンテンツのすべてにおける通信と放送の総合的な法体系の再構築が求められる。
 ●ビジネスモデル学会に投稿済(2001.9.7)
 ●?論文ダウンロード(MS-Word)

5 携帯ストラップの起源は我が江戸時代にあり
 ●山口真吾
 ●要約:携帯電話のストラップは、江戸時代に生まれた「根付(ネツケ)」が起源であり、日本が古来から世界に発信してきたユニークな携帯型のキャラクタ文化の一形態である。携帯ストラップは、モバイルとキャラクタを効果的に結合させたビジネス展開の所産であり、ユーザーの遊び心、芸術性、新しいファッションスタイル、自己表現と他人との差別感をユーザーに訴求することにより海外でも普及しつつある。携帯ストラップの起源とその後の爆発的普及には、根付を生んだ日本人の古来からの国民性に根ざした要因があり、今後のモバイルとキャラクタの国際的ビジネス展開における日本チームの優位性を示している。日本人がこうした“モバイルまわり”のビジネス展開に国民的優位性を保持しているのであれば、その国民性の研究は、国際的ビジネス展開を目指す日本企業にとりその戦略策定の一助になるのではないか。現代人はストラップの使い方を間違えている。江戸時代庶民のようにストラップはベルトに通して、印籠(携帯端末)は腰からブラ下げるのが通である。新しいファッションスタイルを提案したい。
 ●論文準備中(2001.9.11時点)?ダウンロード(MS-Word)

6 IT革命と2つのパラドックス〜都市へのインプリケーション
 ●今川拓郎
 ●要約:IT革命が進展する中で、生産性パラドックスと集積パラドックスに象徴されるような期待と現実の乖離が生じている。経済の知識化の流れの中で東京圏への集中は益々進行する可能性があり、これに対抗するには、頭脳集積の核を都市部に形成させるなど相当の知恵を絞って都市づくりを進める必要がある。
 ●論文誌に掲載予定(2001.10月)
 ●?論文ダウンロード(pdf)

7 電気通信・放送分野の抜本的な規制改革の方向性
 ●井田俊輔
 ●要約:我が国を世界最先端のIT社会とするためには、電気通信・放送分野の企業による、創意工夫を凝らした自由かつ機動的な事業活動を保障し、活性化させることが必要不可欠である。そのためには、副作用の大きい事前規制(許認可)を大幅に緩和し、これに代えて副作用の小さい事後規制(営業停止命令、罰金刑等)を本格的に整備するとともに、電気通信事業法、放送法、電波法、CATV法等に細切れかつ極めて入り組んだ形で区分された法律上の事業区分や諸手続を抜本的に整理統合し、制度を簡素化することが不可欠である。
 ●政策メモ公表(2001.9月)
 ●?ウェブ掲載

8 融合時代の新たなコンテンツ規律の手法 −Lex Informaticaの可能性−
 ●富岡秀夫
 ●要約:アメリカの情報法学者Reidenbergは、情報社会における情報流通の規律のための規範体系として、Lex Informaticaを提唱した。これは、情報通信インフラにビルトインされたテクノロジーに着目した新たな規範体系である。同じく情報法学者のBalkinは、情報化時代においては、情報それ自体ではなく、情報のフィルターのコントロールが規律の主役となる可能性を指摘する。融合が惹起する規律の実効性についての問題、法理論的課題、そして政府と規律が依拠すべき社会的・事実的コンテクストを踏まえつつ、これら提唱のインプリケーションを吟味したとき、融合時代における情報通信コンテンツの規律の力点は、情報の発信とその流通に対する規律という従来の手法から、情報受信機器のテクノロジーを通じた規律という新たな手法に移行することが望まれる。
 ●政策メモ公表(2001.9月)
 ●?論文ダウンロード(MS-Word)

9 これからの研究テーマ
 ●中村伊知哉
 ●今後、以下のテーマの研究を進め論文を執筆する。(2001.10月計画)
  ・情報通信インフラ政策モデルの再構築
  ・どこでもドアの社会経済問題
  ・コンテンツ政策のパースペクティブ
  ・ゼロ・ビット通信の考察
  ・メディア産業のマネーフロー分析
  ・色の世紀
  ・メディア行政組織論

10 情報通信インフラ政策モデルの転換
 ●中村伊知哉,菊池尚人
 ●要約:従来の情報通信インフラ行政は、通信事業と放送事業を対象に、設備・参入・料金規制等によって、誘導することが政策の柱であった。基本インフラの普及から競争導入を経て、90年代に競争促進政策を進めた結果、インフラの整備は進展してきている。  しかし、インターネットをはじめとするデジタル化の進展は、政策の枠組みを全面的に見直すことを求めている。  ネットワークのアーキテクチャーの変化は、競争の進展ともあいまって、経済的規制の縮小・撤廃を迫り、事業行政、事業者行政から利用行政への転換を必要とする。  制度上の各種区分を取り除き、通信と放送の融合を進めることのほか、電波政策についても、周波数利用の再配置や免許制度の抜本的見直しなど総点検が必要となっている。  同時に、NTT、NHKといった特殊法人に係るインフラ行政も根拠が希薄化している。  従来の政策モデルや制度体系を抜本整理するチャンスが到来している。
 ●ビジネスモデル学会に投稿済(2002.1.15)
 ●?論文ダウンロード(MS-Word)

11 情報通信行政組織の再構築
  (Reconstruction of info-communication policy organization)
 ●中村伊知哉, 菊池尚人
 ●要約:情報通信行政は、ネットワーク行政を中心とした通信・放送行政、機器行政、研究開発行政、情報通信利用行政等から構成される総体であり、明治から平成10年の橋本行革までの変遷を経て、複数の省庁が分担して所管している。アメリカは行政委員会、政府及び地方に権限が分散した多層構造であるのに対し、韓国は情報通信部に権限を集約した統合型であるなど、行政組織の姿は国によって多様であり、特定の形式が主流であることはない。日本では情報通信行政の組織をめぐり再々編の議論があるが、提供と利用、規制と振興、企画と実施、政治との一体と独立といった視点から再検証しても、大幅な組織改編の必要性は認められない。取り分け、政治・政府からの独立を図る改変は不適当であり、逆に、情報通信行政を政治のコントロール下に置くべきである。政府は、提供行政の一元化と総合調整機能の強化、規制・振興行政の縮小と監視機能の強化等を推進する必要があるが、組織論よりも人事論の方がさし迫った問題である。
 ●紀要『国際公共政策研究』第7巻第2号収録(2003.4)
 ●?論文ダウンロード(MS-Word)

12 日本のポップ産業
  (The Japanese Pop Industry)
 ●中村伊知哉
 ●要約:日本型のアントレプレナーシップを形成して成長してきたマンガ、アニメ、ゲームに代表されるポップカルチャーは、産業、政治面でも重要なプレイヤーであり、P2P-ユビキタス時代の行方を左右する。
 ●スタンフォード日本センターSPRIEにて発表(2003.5.9)
 ●?論文ダウンロード(MS-Word)


13 デジタルコンテンツの動向
  (The trend of digital content)
 ●中村伊知哉
 ●要約:国内コンテンツ市場は成長分野ではなく、その産業をリーディング産業ととらえた政策は根拠が乏しい。政策領域としては、広義のコンテンツの生産・流通・消費を活性化する視点が重要である。
 ●スタンフォード日本センターDP予定(2005.3)
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14 日本型コンテンツ政策に関する考察
  (An analysis of Japanese content policy)
 ●中村伊知哉
 ●要約:コンテンツ政策の枠組を概観し、政策の根拠を分析するとともに、政策の範囲・手法の多様性、行政目的や責任の所在の不明確さなどを論ずる。産業政策の効果を批判的に検討すると同時に、情報規制、芸術振興、著作権という領域がデジタル化により行政需要の増大をみせ、産業政策以上に重要性を増すことについて論じる。主要国の政策モデルと比較しつつ、総合的なデジタル・コンテンツ政策への移行の必要性について概観し、通信・放送制度改革、ポップカルチャー政策、子どもの表現力支援施策の3点を重点領域とすべきことを述べる。
 ●スタンフォード日本センターDP予定(2005.3)
 ●?論文ダウンロード(MS-Word)

15 ポップカルチャーと子どもの表現力に関する政策試案
  (A policy proposal of pop culture and children's creativity and communication)
 ●中村伊知哉
 ●要約:日本型のアントレプレナーシップを形成して成長してきたマンガ、アニメ、ゲームに代表されるポップカルチャーは、産業、政治面でも重要なプレイヤーであり、P2P-ユビキタス時代の行方を左右する。
 ●スタンフォード日本センターDP予定(2005.3)
 ●?論文ダウンロード(MS-Word)

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